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2015/11/07

讀賣新聞「子ども食堂」全国に広がる…地域交流の窓口

「子ども食堂」全国に広がる…地域交流

の窓口

居場所に/ひとり親支援に

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 ボランティアが作った夕食を提供する「子ども食堂」が全国に広がっている。

 親子連れが手軽に夕食を食べたり、地域の住民で交流したり。子どもが放課後に過ごす居場所にもなっているため、国も、ひとり親家庭への支援策として、補助金を出して広げていく方針だ。

 「お母さん、白玉団子のお代わりをして来ていい?」

 「いいわよ。家でつくっていないからね」

 東京都練馬区の寺の食堂で10月28日夜、母親や子どもなど約50人が夕食を食べた。メニューは、サンマの塩焼き、がんもどきと小松菜の煮物、カボチャのサラダ、白玉団子など。ここは、フリーアナウンサー、金子よしえさん(61)が4月から毎月2回、午後6時から開く「ねりまこども食堂」だ。地元の農園から寄付された野菜などをボランティアが調理する。料金は大人は300円、子どもは無料。子どもだけで来ることもできる。

 利用者は、子ども連れの母親が多い。子ども2人と食事をしていた女性(43)は、「共働きで、帰宅後に夕食を作るのは大変。本当に助かっています」と話す。女性の次男(8)は「ジャガイモ入りオムレツなど、家で出ない料理が食べられて楽しい」と笑顔を見せた。

 金子さんは、「月2回でも、ここで食事をしたり、ほかの母親とおしゃべりを楽しんだりして、母も子も笑顔になってほしい」と話す。

 子どもの居場所として子ども食堂を始めたNPOもある。

 NPO法人「ドリームタウン」は4月から、東京都板橋区の高島平団地に開いているコミュニティースペース「地域リビングプラスワン」で、毎月第4水曜日の夜、子どもには無料で夕食を提供している。同級生と2人で食事に来た小学5年生の女子児童(11)は、「お母さんは仕事で忙しいので、晩ご飯は簡単なものが多い。ここに来るといつもと違うものが食べられるし、友だち関係の悩みを話すと大人が共感してくれるのでうれしい」。

 長女(10)を迎えに来た会社員の女性(50)は、「何かあった時に娘が大人に相談できる場所があると安心できる」と話す。

 滋賀県では、5月から、県内のNPO法人や社会福祉法人などが6か所で子ども食堂を開設している。経済的に苦しい家庭の子どもや、学校や家庭にいづらい子どもに重点的に声をかけている。2018年度末までに、県内に、小学校と同じ数の子ども食堂を作るのが目標だ。

 子ども食堂同士の交流も進んでいて、首都圏では4月、子ども食堂が集まって「こども食堂ネットワーク」を設立した。現在は22団体が参加、子ども食堂を作りたい人向けの説明会などを行っている。

 子ども食堂には国も注目している。ひとり親家庭の子どもが、夕食を取ったり勉強をしたりできる「居場所」を、19年度までに全国に約50万人分開設する方針だ。子ども食堂や学習支援を行っているNPOや団体に、国や自治体が補助金を支出して、子どもの居場所にすることも想定する。

 地域活動に詳しい首都大学東京准教授の室田信一さん(社会福祉学)は、子ども食堂が広がる理由を「PTA活動や地域活動に取り組んできた人が、子どもが育つ環境の悪化を実感しているためではないか」と指摘する。「子どもにとって、成長を見守ってくれる大人と出会うことは大切だ。子ども食堂は、子どもと大人がつながるきっかけになる」と話している。(吉田尚大)

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/childcare/cnews/20151104-OYT8T50175.html